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【第1部】 第9話 いざ、学校へ②

last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-16 17:01:38

「うん、僕はみんなの王子だよ。みんな可愛いね。

 僕嬉しいよ、こんな素敵なレディたちに囲まれて」

 そう言ってヘンリーは王子様スマイルを振りまいている。

 女子たちの悲鳴が教室にこだまする。皆がうっとりした瞳をヘンリーに向けていた。

 あんな王子みたいな、っていうか王子だけど。そんな人から愛をささやかれたら、普通の女子はやられてしまうだろう。

 ま、私は普通じゃないからやられないけどさ。

 なんだ、ヘンリーは別に私じゃなくても若い女の子なら誰だっていいんじゃない。

 私はヘンリーを横目で睨む。

「流華、どうしたの? 不機嫌そうな顔してぇ」

 突然背後から抱きしめてきた貴子が、ニヤニヤしながら私の顔を覗き込んできた。

「え? 別に……私、不機嫌じゃないよ」

「気づいてないの? さっきから眉間に皺が寄ってるよ」

 そう言われて、私は眉間に手を当てた。

 確かに、いい気分ではないことは確かだった。

「あの子でしょ? タイムスリップしてきた王子って」

 貴子がヘンリーに視線を送る。

「……まぁ」

「流華の運命の彼よね?」

「はぁ?」

 私が心底あきれたように貴子を見つめる。

「だって、あんたが龍さん以外で触れることを許した男なんて、ヘンリー以外いないじゃない。それって大事件よ!

 私的には、龍さんかヘンリーが流華の運命の相手だと思ってる。

 今のところ、ヘンリーが有力よね。なんたって、タイムスリップしてきたってのが強いわ」

 貴子は変わった人種である。人より少し、いやかなり考えがおかしい。

 メルヘンチックというかなんというか、少し妄想癖があるようだ。

「まあ、確かに。ヘンリーについては何かこう、わかんないけど、不思議な気持ちを感じるんだよね。

 ……ところで、なんでそこで龍が出てくるかな」

 私は訳がわからないという表情で貴子を見つめる。

「当然でしょ、彼はあなたのナイトなんだから!

 あー、突然現れた王子様か、ずっと守ってきてくれたナイトか。さあ、流華、あなたはどちらを選ぶの?」

 貴子は両手を広げ、どこか遠くを見つめている。

 何考えてるんだか、もう勝手にして。

 私は貴子を放っておくことにした。きっと今は何を言っても通じない。

 女子たちの包囲網をなんとかくぐり抜けたヘンリーが、こちらへと近づいてきた。

「流華、学校って楽しいね。みんな優しいし」

 ヘンリーが笑顔で私に話しかけてくる。

 その後ろから、ぞろぞろと女子達の集団がこちらへ向かってくるのが視界に入った。

 私はあっという間に女子たちに取り囲まれてしまう。

 なんだかすごーく嫌な予感がするんだけど。

 女子たちに視線を送ると、皆の視線と次々に絡まり合う。

「ねえ、如月さん。ヘンリーとはどういう関係なの?」

 集団のリーダー格らしき女生徒が私に尋ねてきた。

 ほら、やっぱりこうくるでしょ?

 だから、女子の集団って苦手なんだよね。

 私は爽やかな笑顔を振りまき、なんとかこの場をしのぐことに努めることにした。

「うん、遠い親戚でね。

 日本のことを学びたいっていうヘンリーの世話を、家族に頼まれたんだ」

 これは事前に考えておいた言い訳。これが一番無難なとこだろう。

「ってことは、如月さんの家で一緒に暮らしてるの?」

 女子の目つきが変わった。注がれる視線が痛い。

「まあ……そう、なるかな?」

「ふーん」

 女子たちは不満そうな顔をする。

 その中には羨ましがる者もいたが、心の中では私への敵意がむき出しなのが見え見えだった。

「流華、すごいね、大人気だね!」

 流華の周りには、女子たちによる人だかりができていた。

 ヘンリーはこれを、流華の人望ゆえだと勘違いしている様子だった。

 いや、あんたのせいだから!

 私の心の叫びは、誰にも届かず消えていく。

 それからというもの、ヘンリーは女子だけじゃなく、男子からも人気を集めることになる。

 そのフレンドリーさと可愛らしい人柄から、すぐにみんなの輪の中心となっていった。

 変な言動も、外国人だからという理由で皆が許容しているようだった。

 彼は初日から、皆の心を捉え離さない存在となった。

 こうして、たった一日で、ヘンリーはクラスの人気者という称号を得ることになった。

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